川村 今日子 IMAHIKO KAWAMURA
展覧会によせて -酒と肴の器-フォルムだけを追求していくと、時として用途にはそぐわないこともあります。日本古来の伝統的な形には、シンプルだが用途を追求した結果の意味ある形が多いように思います。常に矛盾を抱えながらも、作る楽しみがある為に続けています。今回は磁土はもちろん、鉄分の多い黒土や別の陶土も使用し、また釉薬も亜鉛華結晶釉だけでなく、白マットや透明釉薬、青磁釉など様々な釉薬を使っています。酒と肴の器にふさわしい伝統的な形からコンテンポラリーな形の器まで、使う人々の好みとどんな肴を乗せるか、使い方もいろいろお楽しみくだされば幸いです。
濱野 佑樹 YŪKI HAMANO
土という柔らかい素材を窯で高温で焼き締めることで強度を持ったカタチを造形する陶芸に興味を持ち、作陶の可能性を日々探求しています。現在は黒土に皹割れる金色の釉薬を施した器を制作しています。酒の肴になるような味わいのある作品を目指しました。御高覧頂けたら幸いです。
中村譲司 GEORGE NAKAMURA
日本の建築物が様々に変化していく現代建築。それに伴い変化していく食卓やインテリア、器はその一部である。その変容していく様々な現代建築に即した器を作っていきたいと思います。
吉田 絵美 EMI YOSHIDA
今回は『酒の宴』ということで、かつて酒豪と呼ばれた20代を思い出しつつ制作させていただきました。酒の楽しみの一つは会話だと思います。気心の知れた友人、そうでもない人、もちろん一人酒も。自分や他人、猫相手でも、お酒を飲めば会話が弾む気がするのです。そんな席に華、ならぬ鳥や動物をお供としてそっと(たまに「そっと」でないものも)器に描かせいただきました。記憶の中の鮮烈な生き物たち、まだ見ぬ憧れの鳥たち。その生物の美しさをできるだけ忠実に、とは思っておりますが、私の器に生きる彼らには、若干私の妄想が入っております。その境目を、夢うつつの酒の席にも楽しんでいただければ幸いです。