百瀬玲亜

きざしの庭

2017/4/15(土) ー 4/30(日)
12:00 ー 19:00(最終日17:00まで)
月曜日、火曜日休廊

オープニングレセプション 
4/15(土)17:00 ー 19:00

百瀬玲亜 経歴

このたび当画廊におきまして百瀬玲亜「きざしの庭」を開催致します。百瀬玲亜は2013年に金沢美術工芸大学大学院を修了。在学中より「金沢市工芸展」で受賞、近年は金沢市立安江金箔工芸館の企画展で紹介されるなど、注目の若手漆現代作家です。
伸びやかさやスピード感のある有機的なフォルム、手間をかけ磨き仕上げられたなめらかな手触りや深い艶、鮮やかな色漆も魅力です。芽吹き成長する草木をイメージしたオブジェをメインに空間を構成、器も展示致します。ぜひご高覧下さい。
Gallery惺SATORU

漆は塗膜の持つ手触りや艶などの質感が最も魅力的であると感じられます。なめらかでしっとりとした特有の肌合いを想起させる深い艶と、実際の触り心地は他の塗料に見ることはできません。制作の根源はその塗膜によって呼び起こされる、触ってみたいという感情にあり、そこから艶を活かし魅力を伝えられる形体の探求をしています。
漆の艶を生み出すためには塗りと研ぎを繰り返しますが、使う砥石は次第に小さく薄くなり、最後には手のひらに付けた粉で研磨します。この時ごく僅かな凹凸にも気が付くほど手のひらと一体になる感覚があります。この作業を踏まえた造形においては、手と素材との抵抗や自身の中に生ずる形体とが混ざり合うように、手の動きに従って自然と形は変化していきます。このように造形でも作業上でも触るということを基調としており、漆だからこそできる造形表現があるのではないかと考えています。
技術的な面では、麻布を漆で張り重ねる乾漆技法で形を制作し、表面的な仕上げは塗立か上塗をさらに細かく磨く呂色仕上げです。どちらの技法もオーソドックスなもので最も漆らしい仕上げともいえます。漆の基本的な作業でつくられる表面は最も漆的でありながら、同時に水面のような不思議な被膜を纏っているように感じられます。そこから造形と色彩を追求していけば漆の魅力はもちろんのこと、単なる表面上の漆からさらに昇華した物体としての表現ができるのではないかと考え、それを目指しています。
今回の作品は、花が咲く、実が生る、芽が伸びるといった木々や草花が刻々と姿を変えていく動きを、形や色や光の加減で多彩に変化する塗膜で表しました。力強さや移ろう儚さを形に留めて、花器に花を活けて楽しむように空間へ瑞々しく拡がっていき装飾します。
草木が姿を変えながら、また場所を変えながら次の世代を残していく様子には儚さがありますが、今に至るまでの連綿とした繋がりから、一見は同じでも転転と様々な出来事や場所を巡りながら成長していく姿には、新しいことが起きようとする昂揚もあります。
春は芽生えの季節ということもあり、なにか良いことが起こりそうなわくわく楽しくなる感覚があります。草木の姿を借りてそのような兆しのある空間をつくれたらと思います。
百瀬玲亜

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