
「荒地/帆船」展は2020年3月に浦和で発表し、続いて前橋、銀座と巡回し今回が4回目(最終回)となります。シルクスクリーン版画作品14点に、ステイホーム中に新しく始めた木彫作品を加えて再構成して展示します。またそれらをまとめた展覧会記録集「荒地/帆船」も発行致します。
「荒地」はTSエリオットの詩集から、「帆船」は戦前の下丸子界隈のサークル文芸誌から引用しました。タイトルを決めた2020年2月は、パンデミック前、むしろイラン×アメリカを火種とする第三次世界大戦の方がリアルでした。コロナ禍の現在では荒涼とした旧世界から前進する帆船のヴィジョンを上書きして考えていますが、はて私自身はその舟に乗っているのかよくわかりません。たとえ乗れなくとも邪魔しないだけの理性と知性を、後押しする勇気を持ちたいと思います。
広沢仁