SQ117

2014/9/20(土)– 10/5(日)
12:00 - 19:00 月、火休廊

西島直紀  
O JUN 
平下英理
佐々木美穂子

Gallery惺SATORUでは9月20日(土)から10月5日(日)まで「SQ117」展を開催致します。
SQ117・・・これは本展で展示される作品の形状を表しています。
西島先生よりSの50号は描き手にとって難しいサイズと伺いました。あえて今回はこのサイズの絵画に挑戦して頂き、作品を展示致します。
絵画の空間は画面の形状と大きさ、そして描かれる対象及び描き方により展開していきますが、鑑賞者にとってもあまり馴染みのないこのサイズからどのような空間が生まれるのか、そのような普段と少し違った角度から絵画というものを体験していただきたく企画いたしました。
西島先生と親交のあるOJUN先生、そして両氏より若手の教え子を一名ずつ推薦して頂き、今回の四人展となりました。ぜひご高覧下さい。

西島直紀 

SQ117に寄せて

以前OJUN氏のアトリエで、制作中のS50号を拝見したことがあった。Oさんは目の前の画面について「この正方形は絵に対する構えや距離感が定まらない、不思議なサイズで面白いんですね」っと言って静かに微笑んだ。暫くして私も又同じ感慨を味わうのである。後日、今度一緒にこのサイズで展示が出来る機会をとの主旨に、島田さんが賛同してくださり、さらに若い作家二人の参加を得て今展の運びとなりました。

O JUN 

真四角について少し

僕が正方形に絵を描こうと意識して描くようになったのはいつからだろう。たしか2002年に大学で講師をしていた時に学生に出した課題で自分も一緒に制作した時ではなかったか。課題は“初めてのことや苦手なことで作品を作ろう”とかいう内容だった。学生だけにやらせるのもなんだから自分もやってみるかと15年ぶりに油絵を描くことにした。それまで紙の絵が多い自分は油絵具が苦手であり、正方形のカンバスに描くのも初めてだった。この時は20号の正方に船と太陽の絵を描いた。描いてみて油絵もこのフォーマットにも不慣れなままにそれはひとつの実感として身に堪えた。それが合図になって以来、正方形に描くようになった。30号、40号と次第に正方形を大きくしていった。50号まで来てカンバスを張ってみたらその大きさが目に余り手に余りあわててしまった。海水浴に来て浅瀬で遊んでいて調子にのっていたらいつしか岸から遠く離れてしまい急に足が着かない深さにびっくりしてしまった感じだ。久しぶりに身に堪えた。“イメージ”がたかだか既成のサイズに脅かされるというのが情けなくて泣き笑いの始末ではないか。事程左様に僕の場合、絵は地上的出来事であり肌身に触れて近い。同時に自分の背中の一個の黒子が直に見ることも触ることもできぬほど金星よりはるかに遠くもある。この夏にまた117センチ四方の真四角に絵を描いてみよう。モチーフは、鳩と僕と樹。今年一月から繰り返し描いているモチーフだ。
O JUN 2014年8月11日

平下英理

 複数の図像を交錯させて判読のしずらさを作為的にすることで、逆にイメージの実在感が得られるのではないか、ということを制作を通じて模索しています。
主に雑誌やインターネットで見られる画像をもとに描いているため、デジタルなアスペクト比がほとんど矩形を選ぶ決め手となっていました。今回スクエアをコンセプトとした展覧会に出すにあたって、作品がより容赦なく「切り離された一場面」を強く想起させることを踏まえなければなりません。しかしそれが整理された情報としてのイメージから一度解放され、再度組み立てられることで視点に変化が起こればスクエアを試みる意味があると思います。

佐々木美穂子 

正方形に描かれるモチーフの、座りの悪さについて

正方形のキャンバスを地面に水平に置き、モチーフをドンと描こうとする時、モチーフは重さの無い物のようにふわふわとして、画面のなかでの場所がなかなか定まらない。正方形には上下左右に違いがないからなのか、モチーフの落ち着くためのきっかけが見つからず、まるで、お盆の上に表面張力で広がっている水のように、ちょっとしたことで右にぶれ、左にぶれ、上下左右にぶれる。
そして、キャンバスを垂直に置くと、引力によって、モチーフがふと安定する。
しかし、キャンバスの右を下に、下を左に回転させることで、正方形なので画面の縦横は変わらず、モチーフのみが再び不確かな形に戻る。

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