紙の上の思考 Ⅵ
-エスキース
Thoughts through Drawing
2020.2.22(土)- 3.22(日)
*会期が延長になりました。
12:00 - 19:00 月、火休廊
江口暢彌
今回のドローイングは数年前に描いたイメージの収集から作品化するために進めた下図、もしくは下図と作品の間にあたるものです。最終的には3m以上の作品を想定しています。架空の二枚の紙を重ねたイメージのシリーズです。他の作品同様、形式(または領域)について考えた自己言及型の絵画です。
細井篤
彫刻のエスキース
三次元空間で線を基調にした彫刻を制作するわたしは、ドローイングでは捕まえにくい部分もあって、メモ書き程度の言葉や線はかくものの、先ずは直接モデルを作ってしまう。
彼らや彼女は手のひらに収まる程度の大きさで、大体のイメージはあるものの私の指先が素材と戯れるうちに徐々にかたちを持ち始め、天地関係なく、只々眺めてはひっくり返し、時にはなだめたり、そのうち本性が現われてくる。
そうしたら彼らの良いところを見つけまた一つ作り出す。全く違ったものだったり、微妙な差異のものだったりを繰り返す。三次元空間を把握するには、やはりこの手のひらサイズの彼らは欠かせない。
しかし比率や角度、微妙な部分ではモデルで再現するには時差がありすぎるので、ドローイングと共にスマホで撮って検討する。(この画像も膨大になってしまう。)モデルに画像どちらも同様にエスキースとして欠かせない、そして存在感も宿す。ところが実制作の際このエスキースに頼りすぎると、思わぬところで足をすくってくる恐ろしい存在でもある。
松本晃
フリードローイングから創作のきっかけを得た時そのまま具体的なデッサンに移行すると次は材料と加工技法の観点からイメージの揺り戻しが起きる。その揺れがしばらく続く過程がエスキースだと考えています。
繰り返す揺り戻しの結果、創作の方向性が決まる。
エスキースではフォルムの細部まで描き詰めていきますが大切なのは方向性なのでその方向性が決まった時点でエスキースの完了と考えています。
山神悦子
普段ドローイングはしますが、油彩画のためのエスキース(習作)という捉え方はしていません。今回初めて油彩画のためのエスキースを描きました。素材や構図を変えながら様々な可能性を試して、すぐに結果を見ることができる、それを繰り返す事で油彩画のイメージが明確になるまで考えを詰めていくことが出来る、という体験をしました。
紙の習作をキャンバスと油彩に置き換えるには始めにモチーフを選ぶ必要がある上に、いつもの自分の制作方法と異なるところもありますが、今後、エスキースを使いたいと思う場合もありそうです。
同時に出品するM12号の油彩も大きい作品の習作と言えるかもしれません。