酒井稚恵 -君のポエムが聞こえる-

酒井稚恵 -君のポエムが聞こえる-

このたびGallery惺SATORUでは、12月1日より酒井稚恵 個展"君のポエムが聞こえる"を開催致します。

酒井稚恵(さかいちえ、1977生)は、チェック、ドット、モチーフ、ストライプといった様々な柄の既成布を用い、ニードルワーク(針仕事)による立体作品、インスタレーション作品を制作しています。

在学時代ファイバー・アートに魅力を感じた酒井は、縫うことによって布を変化させていくようになります。フェミニンやガーリーなイメージを作り出す、洋裁のシャーリング、スモッキング技法にも似た独自の方法を既成布にほどこして立体作品に仕上げていきます。手のひらに乗る作品から何メートルもある大作まで、作品は国内外で展示され好評を得てきました。

今回の展覧会ではクマやハートといったモチーフ柄による作品を中心に、大作と立体作品で構成いたします。実際に手を動かし布と対話するようにしてイメージを広げていった作品は、軽やかでユーモラスです。それぞれのモチーフからどのようなポエムが聞こえてくるでしょうか?

 

 

2014年12月1日 (土) ―  12月23日(日) 月・火 休廊

12:00 ― 19:00

*Artist talk 12月1日(土)15:00 ―

*Openingreception 12月1日(土)  17:00 ― 19:00

「君のポエムが聞こえる」

わたしがいつも使うのは、機械で大量生産された布。

ひと針ひと針縫い縮めていくと、クールだった布の表面温度がふんわりと上がり、

イメージがたちあらわれる。

それは、布のフリルやギャザーの下に隠れた少女の肌が囁くポエム。

わたしは、静かに耳をかたむけて、そのポエムをうたう。

くまさん、いちご、お花柄など。

今回は、モチーフ柄の布ばかり集めて、彼女らのポエムをうたいたいと思います。

 

酒井 稚恵

 

 

酒井稚恵 / Chie Sakai

1977 神戸市生まれ

2000 大阪芸術大学 工芸学科 テキスタイルデザインコース卒業

2002 大阪芸術大学大学院 芸術制作研究科 表現領域V(染織)修士課程修了

2004-2006 大阪芸術大学大学院 非常勤助手

2006-2008 芦屋市立打出浜小学校常勤講師(図工専科)

2009-2012 こども造形教室 ふたご山図工室主催

 

個展

2012 「君のポエムが聞こえる」Gallery惺SATORU/東京

    「ほうき星、あらわる」LIXIL Gallery/東京

2010 「GIRLY」Gallery Gallery/京都

2009 「GIRLY」GALLERY SOL/東京

2008 「GIRLY」千疋屋ギャラリー/東京

2007  ギャラリーHIGUCHI/福岡

    「GIRLY」ギャラリー白/大阪

2006  AOAO 天窓ギャラリー/京都

    「DOT/CHECK」ギャラリーTENTEN/神戸

2005 「Convert A to Z」千疋屋ギャラリー/東京

2004 「Love the Material V」Pepper’s Gallery/東京

    ギャラリー北野坂/神戸

 

受賞歴

2010  6th International Fiber Art Biennale 優秀賞

2008  5th International Fiber Art Biennale 優秀賞

2004  3rd International Fiber Art Biennale 優秀賞

2002  大阪芸術大学卒業制作 研究室賞

グループ展

2012 「箱入り展」ギャラリーMARONIE/京都

    「Chikurinji ART Experience-私的超感覚」五台山竹林寺/高知

    「芽生え」ショーケースギャラリー/京都

    「SLICK」(-Art fair- Gallery惺SATORUより)/ブリュッセル(ベルギー)

    「ミニファイバーアート公募展2012 in PAUSE」ギャラリースペースパウゼ/東京

    「迎春」Gallery惺SATORU/東京

    「あやなす」ミニアチュール展 千疋屋ギャラリー/東京

2011 「日本オーストラリア交流30周年展」W.AMuseum/パース(オーストラリア)

    「第2回 テキスタイルアート・ミニアチュール展 -百花斉放-」Gallery5610/東京

    「第2回 テキスタイルアート・ミニアチュール展 ?百花斉放?」Gallery5610/東京

    「清州国際工芸ビエンナーレ」/清州(韓国)

    「Art Court Frontier」アートコートギャラリー/大阪

    「日本オーストラリア交流30周年展」兵庫県立美術館ギャラリー/神戸

    「アートフェア京都(GalleryGalleryより)」モントレホテル京都/京都

    「行商」The gallery circus(Gallery惺ATORUより)スパイラルガーデン/東京

    「色考|白」Gallery惺SATORU/東京

2010 「新鋭作家展」染・清流館/京都

    「6th International Fiber Art Biennale」/鄭州(中国)

    「International Exhibition of Contemporary Textile Art」

    Church of San Francesco/コモ(イタリア)

    「P&E2010」アートコートギャラリー/大阪

    「FLOWERS~Like a wildflower」Gallery惺SATORU/東京

    「ECHO TOUR」京都府庁旧本館/京都

    「第1回 テキスタイルアート・ミニアチュール展-百花彩才-」ルーフギャラリー/東京

2009 「あやなす」ほたるまちギャラリー/大阪

    「Maquette#2」GALERIE SOL/東京

2008 「5th International Fiber Art Biennale」/北京(中国)

    「アートなギフト展」AOAO天窓ギャラリー/京都

2007 「はぎれであそぶ」Gallery DEN/大阪

2006 「4th International Fiber Art Biennale」蘇州工芸美術職業技術学院/蘇州(中国)

    「TODAY’S ART TEXTILE」Craft story/釜山(韓国)

    「AZABU10BAN ART TEXTILE II」元麻布ギャラリー/東京

2005  北海道芸術の森美術館/北海道

    「TODAY’S ART TEXTILE」Craft story/釜山(韓国)

    「あやなす」海岸通ギャラリーCASO/大阪

2004 「3rd International Fiber Art Biennale」上海応用技術学院/上海(中国)

    「ARTIST CALENDER 2005」アートスペースアルテリア/東京

    「SQUARE-CARRE-CUADRADO」W.T.A.Textile art 3rd international biennnial/バレンシア(ベネズエラ)

    「600のルーツ」原田の森ギャラリー/神戸、京都市立博物館/京都

    「あやなす展」千疋屋ギャラリー/東京

2002 「大阪芸術大学大学院修了制作展」海岸通ギャラリーCASO/大阪

    「あやなす展」千疋屋ギャラリー/東京

2000 「It’s my Art Style」pepper’s gallery/東京

1996,1999 「日韓交流展」大阪芸術大学/大阪、弘益大学/ソウル(韓国

布に仕掛けられたわな ―福本繁樹(染色家)

布はつねに肉体と密接な関係にある。布は、肉体をつつみ、透かし、隠し、見せて、魅せる。布には風合いがあり、色や柄があり、しぼ、ちぢみ、ふくれ、プリーツ、ギャザー、ドレープがくわえられる。全感覚にうったえる周到な演出のためである。

世界にじつに多様な布があるが、その布は、個人の感性によって、また目的に応じて、注意深くえらばれる。そしてつかわれる。だから布をみるだけでも、布にふさわしい使用主のジェンダー、国籍、年齢、性格、感性などの人物像と、布が機能する場面や時代のイメージが、個々の布から喚起される。こうして個々の布に、個々の人物・場・時のイメージがはりつく。それは、布が衣服のかたちをもったばあいなおさらだ。

われわれは日々肉体とともに布をみる。おびただしい数の布を観察する。布に親しみ、やすらぎを得て、ときには幻惑され、翻弄され、布に仕掛けられたわなのとりことなる。

酒井稚恵は、布に一針一針の縫いによって、プリーツと柄をあやつる。その布は、市販の織やプリント地からえらぶ。水玉、ストライプ、チェック、そしてクマさん、いちご、てんとう虫、お花などの“かわいい”柄がえらばれる。柄は柄でもその柄は、模様でもパターンでもなく、どこかメルヘンチックで乙女チック(girly)なひとがら( 女性 ひと  柄)の柄である。

柄には、柄のくりかえしにそってアコーディオンプリーツがほどこされる。プリーツの山が柄の一部を見せ、谷が一部を隠す。柄の部分的な接続と遮蔽によって、あらたな連続とヴァリエーションへと変容させる。格子が縞に、水玉が縞や格子や同心円に変異するなど、単純なしかけによって意外な視覚イメージをうみだす。

プリーツはまた、立体造形の方法となる。その造形が、たとえば花・リボン・キャンディー・帽子・星・コップなどのガジェット(gadget、小道具)をかたどっていても、プリーツスカートや、フリルの衿や袖口と同種の造形である。身体にそわせたかたち、それも身体の代謝と運動をふまえたゆとりのあるかたちをおもいうかべさせる。そこには身体はないが、フェミニンな香気がたちこめる。

酒井稚恵の作品は、ファッショナブルなネオテニー(neoteny、幼形成熟)のセクシュアリティをただよわせる。また、作品のかたちから直接みえるモチーフのイメージと、布の表情にはりついているみえない肉体のイメージのあいだの不可思議なギャップのあいだを、観者に往還させる。

作品について酒井稚恵は述懐する。「いつまでも子どもでいてほしいと願っていた両親」に「稚恵(幼い恵みの意)」と名付けられ、育てられた、「幼い少女だった頃に育った感覚は、今につながっています」と。フェミニンなガジェットの作品イメージが、チャーミングな作者と、「稚恵」の名と一体になって、愛すべき稚気が満溢する違和世界に観者をいざなう。